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パーソナリティ障害について

パーソナリティ障害について

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 パーソナリティ障害は、偏った考え方や行動パターンのため、家庭生活や社会生活、職業生活に支障をきたした状態です。 米国精神医学会の最新診断基準であるDSM-Ⅳでは、「著しく偏った肉体的体験や行動の持続的様式」とされます。

 「著しく責任感が強い」人も、「著しく責任感がない」人も度が過ぎると、どちらもパーソナリティ障害になってしまいます。実際、前者は強迫性パーソナリティ障害、後者は反社会性パーソナリティ障害と呼ばれます。また、「著しく自信のない」回避性パーソナリティ障害に対して、「著しく自信過剰な」自己愛性パーソナリティ障害というのもあります。

 このように一見、正反対のものまで含んでしまいますが、極端さというものは、どちらに向かっても、結果的にどれも困った事態を引き起こすという点では似通っています。

 パーソナリティ障害に共通してみられる基本症状の一つは、両極端で二分法的な認知に陥りやすいということです。全か無か、白か黒か、パーフェクトか大失敗か、敵か味方かという、中間のない二項対立に陥ってしまうのです。

 そのため超ハッピーな状態も、些細な不満からサイアクな気分にひとっ飛びで変わってしまったり、全体で見れば、すばらしくうまくいっていても、たった一つでも思い通りにならないことがあると、すべてが台無しになったように感じてしまいます。とても可愛がっていた者をちょっと気に入らないことがあっただけで、ひどく憎むようになってしまったりします。

 パーソナリティ障害の人に見られるもう一つの認知の特徴は、自分と他者との境目があいまいで、十分に区別できていないところです。そのため自分の視点と他者の視点を混同しやすく、自分がいいと思うことは、相手もいいと思うはずだと思い込んでしまいます。自分の視点でしか物事が見えず、自分の考えや自分の期待を周囲に押しつけてしまったり、自分の問題を周囲のせいにしたり、周囲の問題にすり替えてしまったりということが起こりやすくなります。

 もう一つの基本症状は、他者を心の底から信じたり、心から気を許すことができにくいということです。本当には信じることができないため、相手を試そうとしたり、裏切られるのが嫌で、自分から先に裏切ってしまうこともあります。誰も信じられないために、誰とも親しい関係になるのを避けようとすることもあります。境界性パーソナリティ障害の女性は、絶えず「愛している」「ずっとそばにいる」とかいう言葉を聞かないと、すぐに不安になってしまいます。ちょっとでも反応が返ってこなかったり、わずらわしそうな顔をされると、「もう自分は愛されていない」「見捨てられた」と思ってしまいます。

 もう一つの基本症状は、自分に対する認知に関するもので、自己像がとても理想的で完璧なものと、劣悪で無価値なものに分裂し、両者が同居しているということです。つまり、一方で強い劣等感や自己否定感を抱え、もう一方で高すぎるプライドや現実離れしたともいえる万能感をもっているのです。このギャップがとても大きいため、均衡が崩れやすく、通常なら冗談として聞き流せるようなことも、ひどい侮辱や攻撃と受け取って、ついムキになって反撃したり、長く恨みに思うということにもなりやすいのです。

 パーソナリティ障害の人に共通してみられるもう一つの特性は、心という装置で受け止めることができる許容量がとても小さいということです。それを超えてしまうと、もう心で処理することができなくなり、暴発的な行動に走ったり、自分や相手を損なうような破れかぶれの行動に至りやすいのです。心の問題が行動の問題となってしまうことを「アクティング・アウト(行動化)」といいますが、パーソナリティ障害の人では、ストレスが理性的な対処能力を超えてしまうと、アクティング・アウトを起こしやすいといえます。

パーソナリティ障害のタイプ分類は、以下の十タイプに分類されます。

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  • シゾイドパーソナリティ障害
  • 失調型パーソナリティ障害
  • 妄想性パーソナリティ障害
  • 境界性パーソナリティ障害
  • 自己愛性パーソナリティ障害
  • 演技性パーソナリティ障害
  • 反社会性パーソナリティ障害
  • 回避性パーソナリティ障害
  • 依存性パーソナリティ障害
  • 強迫性パーソナリティ障害

シゾイドパーソナリティ障害は、他者への関心や関わりへの欲求が乏しく、根っから孤独が性に合っていることを特徴とするもので、喜怒哀楽の感情も乏しく、表情も平板な傾向があります。感情が鈍感だから人と接触したがらないのではなく、敏感すぎるから人と接することが苦痛になっています。

 失調型パーソナリティ障害は、非現実的な考えや知覚に支配されていることを特徴とし、頭がいつも働きすぎて、考えが際限なく広がりすぎてしまいます。人との関係は必ずしも消極的ではないものの、ギクシャクしていたり、自然さに欠けるきらいがあり、非社交的で、マイペースです。

 妄想性パーソナリティ障害の人は、強い猜疑心と対人不信感を特徴とするもので、自分の個人的な情報を知られることに対して非常に警戒的です。傷つけられることに極端に敏感で、些細な言葉にも悪意や非難、嘲笑の意味が込められているように感じて、屈辱や怒りを覚えます。また、非常に嫉妬深く、配偶者や恋人が不貞をはたらいているのではないかと根も葉もない疑いにとらわれてしまいます。

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 境界性パーソナリティ障害の最大の特徴は、変動が激しいことです。気分の面でもそうですし、対人関係や行動の面でも、短い間に別人のようにガラッと状態や態度が変わってしまいます。見捨てられるということに対して強い不安を抱いているということも、重要な特徴のひとつです。

 自己愛性パーソナリティ障害の人は、「偉大な自分」にふさわしい華々しい成功を夢想したり、他人に対して過度に尊大な態度をとったり、特別扱いを求めますが、相手の気持ちには無頓着です。この人たちにとって、他者は、自分を賞賛するか、自分の目的のために利用するものに過ぎません。思い通りにならないと激しい怒りにとらわれることも特徴の一つです。その怒りはとても強烈で激しいもので、たとえ自分に非があっても、相手の不手際や無能ぶりを一方的に責め立てます。

 演技性パーソナリティ障害の人の信念は、「絶えず注目や関心を浴びていないと、自分は無価値になる」という思いこみで、そのため後先を考えることなく「注目追求行動」に走ります。注目を集めること自体が目的化しているため、明らかに自分の名誉を傷つけたり、非難や嘲笑を受けるようなことさえも、注目や関心を集めるために行ってしまうことがあります。

 反社会的パーソナリティ障害は規範意識や、他者に対する共感性の乏しさを特徴とし、自分の欲求のためであれば、他人を害したり、損なうことも冷酷にやってしまいます。アウトローな生き方をすることが、自分のアイデンティティーになっていることもあります。
 回避性パーソナリティ障害は、傷つきと失敗を恐れるあまり、人と接触したり課題にチャレンジしたりすること自体を避けることを特徴としています。どうせ失敗してしまう、どうせ人から嫌われてしまうという否定的な思い込みが強く、それなら最初から何もしないでいるのが安全で楽だと考えてしまいます。

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 依存性パーソナリティ障害の人は、自分一人では生きていけないので人に頼らなければならないという思い込みのもとに、自分を低め、不当なまでの自己犠牲を捧げてまで相手に合わせようとします。過保護な親に世話をされて育った人が多く、自分で選び、決定する力が身についていません。

 強迫性パーソナリティ障害は、秩序や一定の流儀へのこだわりが強すぎるために、それを完璧にやり遂げようとして、かえって支障をきたすもの。計画、予定、慣例、規則などを杓子定規に守ろうとするあまり、融通が利かないとみられがちです。細かいところにこだわり過ぎて全体のことを忘れてしまうこともあります。

参考文献:
岡田尊司「パーソナリティ障害がわかる本」(法研)より

パーソナリティ障害の改善には、認知行動療法・スキーマ―療法が効果的であると認められる臨床実績が数多くあげられています。

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