過食や拒食は脳が関係しているのは本当?
過食や拒食は、単純に「食べることを我慢できない性格」や「食い意地が張っている」などの問題ではありません。
幼い頃の体験や、自己肯定感、人間関係などのストレスがそもそも原因となる場合がほとんどです。
傷ついた心を癒し、ストレスを解消することで、普通の食生活に戻ることができるのです。
その一方で、過食や拒食を脳科学的に考えることもできます。
過食などの行動を、感情ではなく科学的に見ることは、自分の行動を客観的に見ることができ、解決が早くなるきっかけともなるでしょう。
✔︎ 脳科学的に過食や拒食を解説します
✔︎ 脳の仕組みから、どうして過食などがやめられないのかがわかります。
✔︎ 脳の仕組みを考えた対処法がわかります。
こちらも参考に〉〉動画で解説!摂食障害の過食嘔吐は脳科学で止める!!
有名な「脳の三位一体論」の仮説って?
ここで少し、脳の特徴について説明しましょう。
人間の脳は大きく、大脳新皮質、大脳辺縁系、脳幹の3つに分けることができます。
◯ 大脳新皮質は人間脳ともいわれ、合理的に考え思考するための脳です。
◯ 大脳辺縁系は哺乳類脳といわれ「感じる」ための脳です。
◯ 脳幹は「生きる」ための基本的な脳で、爬虫類脳といわれています。
諸説はありますが、基本的に人は、この3つの脳の働きによって行動していると考えられています。
たとえば、お腹が空いたからから食べ物を口に入れる、のどが渇いたから水を飲みたい、暑いから服を脱ぐ、眠たいから寝るなど、生命を維持するための自然な行動や欲求は、最も原始的な爬虫類脳が関係しています。
仲間やグループを作ったり、人の行動を見て喜んだり、笑ったり、怒ったりする衝動的な感情は、哺乳類脳が関係しています。
そして、資格を取るために学習する、本を読んで知識を得る、絵や図形を書く、健康のために運動をするなど、論理的であったり、未来を見据えた思考ができるのは人間脳、特に前頭前野が関係しています。
過食と爬虫類脳の関係
爬虫類脳で命令されたことはめちゃめちゃ強力です。
生物としての本能なので、常に「安全」で「平常」であろうとします。
たとえば、新しいことに挑戦したり、未知の経験に恐れを抱くのは爬虫類脳が「今までと同じことをやって!」と命令しているからなのです。
ダイエットが続かなかったり、過食が止められないのは、この爬虫類脳が強力だからといえるでしょう。
また、食べること、特に糖質を摂ると「ドーパミン」という物質が分泌されます。このドーパミンは「幸福感」に直結します。
脳は糖を取ると「幸せ」になれると学習しているので、疲れやストレスを受けることで、食欲が止まらなくなったり、甘いものが強烈に欲しくなるのも無理はないのです。
こういったことが習慣化すると、いくら「やめよう」と頑張っても、無意味になってしまい、負のサイクルがどんどん続くようになってしまいます。
負のサイクルを止めるために
「過食などは良くないこと」と考え、ストップさせるのはいわゆる人間脳の働きなのですが、分かっているのに止められないのは、この人間脳の前頭前野の機能がダウンしているのかもしれません。
この爬虫類脳の支配から逃れ、過食を止めるためには人間脳を活発化することが必要です。
人間脳の機能がダウンするわけ
そもそも、人間脳(大脳新皮質の中でも前頭前野)の機能がダウンするのはどうしてでしょうか?
色々ありますが、過食になりやすい人には次の原因が大きいといえるでしょう。
◆ストレスによってコルチゾールが増加している
コルチゾールは生命の維持には欠かせないホルモンですが、ストレスによりコルチゾール濃度が高くなります。
実は、このコルチゾールの過剰な分泌は、脳の神経細胞が減少することがわかっているのです。
◆頭で考えすぎである
考えすぎというのは、脳を使っている状態で、悪いことではない気がするかもしれません。
しかし、一つのことを集中して考えている状態ではなく、色々な雑多なことを常に考えてしまったり、人の顔を伺って行動したりしていると、情報を一時的に記憶する「ワーキングメモリー」というものがパンク寸前になってしまいます。
たとえば、机の上で勉強しようと思っても、ごちゃごちゃといらない本やガラクタが積み上がっていると、必要な文房具を探し出すだけで労力を使ってしまいますよね。
必要な本やノートを取り出し、少し机の上を片付けるだけでくたびれてしまいます。
それと同じことが、脳にも起きるというわけなのです。
前頭前野は集中力を持続させたり、抽象的な思考を担っているので、雑多な思考や不安、ストレスによって萎縮し、これらの機能が低下する可能性があるのです。
脳の機能を回復し、過食を止めるためには
では、爬虫類脳の暴走を止めるため、人間脳を活性化するためにはどうしたらいいのでしょうか?
◆軽い運動を30分
実は、脳を活性化するには運動が有効です。
最近になって、運動をすると脳からBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が分泌されることがハーバード大学の研究によって明らかになりました。
このBDNFは、脳内の神経とシナプスでつながっているネットワークの拡大を促進する役割をもっており、運動によって「脳は成長する」ことが確認されています。
◆マインドフルネス・瞑想
マインドフルネスは「考えすぎ」の状態を解除して、脳のワーキングメモリーを増やすことができます。
集中力を高め、自分の気もちや感情をコントロールすることができる、心の筋トレと言っても過言ではありません。
さらにストレスの緩和や、不安や鬱の改善にも効果があります。
MRIを使った研究では、左海馬や側頭頭頂部接合部の灰白質の密度が増加したなどの結果も公開されています。
◆良質の睡眠
なんといっても、良い睡眠は体の機能だけではなく脳をリフレッシュすることができます。
精神面の安定効果は抜群なので、対ストレス効果や、ホルモンの関係で幸せを感じやすい体質になり、脳の機能が向上しやすくなるでしょう。
生命に関係しているので、なかなかコントロールが効きにくい爬虫類脳ですが、これらを続けることで、人間脳の機能を成長させることができるのです。
それが、やがて過食や嘔吐を止めることにつながるのですよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
食欲の衝動は、爬虫類脳に支配されているので、なかなか止めることができません。
しかし、必要以上に食べることは、体にとっても、精神面にもダメージを与えてしまいます。
人間脳の機能を高め、冷静に考えることで、徐々に過食や嘔吐が少なくなるでしょう。
参考にしていただきましたら幸いです。
こちらの記事も参考に〉〉うつ病・不安・パニック・強迫性障害を克服するためのマインドフルネスとは
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